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     ご 挨 拶

 

 2021年の年末から翌2022年年初にかけて、私たち《みなとみらいリコーダー・コンソート》は大きな試練に直面することになりました。困惑と不安の数か月を経て新生《みなとリコ》に生まれ変わろうとする経緯を簡単に辿ることで私たちをご紹介したいと思います。

 

 横浜を象徴する街は一つに絞れません。伊勢佐木町、関内、山手など、それぞれ豊かな個性と歴史に彩られています。みなとみらい地区は新参者で、その開発が始まったのは1980年代になってからです。造船所や工場が立ち並ぶ茶灰色の工場地帯が、この数十年の間におしゃれなパステルカラーの街並みに変貌しました。新たな歴史を刻みつつあるこの街を行き来する人々はみな洗練された趣味の持ち主に見え、楽器ケースを抱えている人は達人の風情を身にまとっています。

 

 この街の中心に位置する横浜ランドマークプラザの5階に私たち《みなとリコ》の練習場がありました。正式には「NHK文化センター 横浜ランドマーク教室」の「アンサンブルで楽しむリコーダー」クラスと呼ばれていました。2002年の創立以来情熱的に指導して下さる吉澤実先生のもと二十数名のメンバーが集い、ルネサンス・バロックから現代の音楽まで古今東西の幅広いレパートリーの音楽を楽しんできました。隔週木曜日の午前中がレッスン時間だったので音楽的意欲に加えて平日が自由に使えるという、人生にある程度のゆとりを持てる人々が集まり、平均年齢おそらく50代後半、9割の女性と1割の男性という構成で均衡を保ってきました。

 

 創立以来20年近く平穏で楽しい研鑽の日々が続いていたのですが、2020年から日本でも新型コロナ・ウィルスによる感染が全国的に広がり、経済や社会が大きな影響を受けました。NHK文化センターの横浜ランドマーク教室が2022年3月末日をもって閉鎖されることになったのもパンデミックが契機で、どこか他人事と傍観していた新型コロナの災厄が《みなとリコ》に降りかかってきたのです。私たちはカルチャーセンターの一教室という、言わばカプセルの中で保護されて音楽に集中できていた状態から、自主運営の団体として全員で目的を共有し、その目的を達成するために自らの力で環境を整備する必要に迫られることになりました。自主運営団体で音楽演奏を楽しむために、これまで他人任せだった《みなとリコ》の運営を自分たち自身で担わなければなりません。当初それを辛いことと受け取ったメンバーが多かったようですが、逆に自分たちの意志と努力でこれまでよりさらに望ましい方向に運営を変革していく好機ととらえることもできました。実際、結果的にはほとんどのメンバーがそのように気持ちを切り替えることができたと思います。

 

 取り急ぎ団体の規約や役員などを定め、吉澤先生や杉田劇場のご支援をいただきながら、十数名の小さな団体として新たな歴史を創り出すべく歩み出したところです。私たちの思いの一端をこのホームページに表現し、過去の演奏の写真、音源などのコンテンツをいくつか加えました。名称に「みなとみらい」を冠した団体にふさわしく、その街と同様に《洗練された趣味》の演奏が私たちの目指すところです。まだまだ道は果てしなく遠いことを強く自覚しながら、着実に歩を進めて行きたいと思います。

 

 このホームページにご関心をお寄せくださった方々は楽器ケースを小脇に抱えて《みなとリコ》にお越し下さい。演奏の喜びを共に分かち合いましょう。

 

2022年2月

​湊 理子

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